□概要
現役漫才師であり、最近のM-1で審査員を務めるナイツ塙さんによる
M-1グランプリ、ネタに関する考察。
その中でも、関西芸人とそれ以外(大きくは関東芸人)
がどのように異なるのかを分析する。
<前提>
□M-1グランプリとは?
2001年に始まったお笑いコンテスト。
島田紳助さんが考案した。賞金1000万、参加者数千人という、
日本最大規模のコンテスト。
(本書では)参加条件にコンビ結成10年までの縛りがあった2010年までを旧M-1、
2015年から結成15年までに延長されたM-1を現在のM-1として説明する。
(※M-1のこれまでの内容はアマゾンプライムで見ることができます。)
□漫才について
漫才とは、複数人による話術の芸。
漫才はボケで笑わせ、ツッコミでさらに笑うというのが理想とされる。
大きく分けると、「しゃべくり漫才」と「コント漫才」の2つがある。
前者は日常会話の延長、後者は芝居に近い。
M-1では、前者の「しゃべくり漫才」を王道として捉える傾向にある。
* * *
□感想
・お笑い芸人の準備、心構えには共感するところが多い。
例えば
>準備
・ネタの稽古を徹底して行う。
>心構え
P72
「深いところからお客さんの感情を揺さぶり続けるために漫才師ができること。それは優れたネタを考え続けることしかないと思います」
P92
「先輩方がなかなか目が出ない若手に必ずと言っていいほどこうアドバイスします。とにかく1本でも多くのネタを書きなさい、と。」
P185
「漫才という芸能がこの世に生まれてきた意義は、二人じゃないとこの笑いは生み出せない」という点です。
気づき
P94
「好きなものを異様に熱く語るだけで、それはボケになる。」
これらは、講師業や英語のスピーチに通じるものがある。
* * *
全体を通して
・塙さんや周りの芸人たちが切磋琢磨して、それぞれのお笑いのスタイルをつくるべく、雑草魂を燃やしているところに共感する。
・プロ目線のお笑いへの分析が面白い。
例えば、M-1は100メートル走という定義の仕方。
短時間で笑いを取りやすいコンビもいれば、
中長時間で笑いを取りやすいコンビもいる。
また、これまで出場したコンビの
サンドウイッチマン、オードリー、スリムクラブ。。。と
面白かったコンビがなぜすごいのか、
お笑いの違いを、野球や音楽など一般的な内容に例えて説明する
解説が面白かった。
例:
関西のしゃべくり漫才はロック基調なのに対して、
オードリーの笑いはジャズ。型に縛られず、自由なスタイル。
登場のスタイルもズレて始まり、アドリブでクライマックスを迎える。
だから、M-1本目のネタで噛んでしまったことをその場でネタにして
笑いに昇華してしまう、という技を披露できた。
塙さんが笑いというテーマについて
真摯に向き合い、自分自身もネタを書き続け、
さらに周りのネタを分析する姿勢を見習いたいと思った。
そして、それを自分の取り組んでいるものにも
問い入れていきたい。
* * *
P.S(追記)
M-1 2019にて
M-1史上最高得点(681点)を出した
ミルクボーイに塙さんが仰った言葉
「人の力と言葉の力とセンスが凝縮されていたので
100点に近い99点です」
これは、今後の自分にも当てはまること。
講師として、スピーチを話す者として、Youtuberとして、
自分に合った自己表現をしていきたいと思った!